高校生の時に見た1枚の写真に突き動かされた
私が今、エネルギー開発の仕事をしているのは、高校生の時に見た1枚の露天掘り(地表から直接地下に向け掘る採掘手法)鉱山の写真がきっかけです。写真に写る巨大な穴を掘って進める大規模な掘削。人間が地下深くまで岩を掘り、資源を取ってくるという壮大な仕事に、胸がワクワクしたことを今でも覚えています。大学でも資源開発に関わる専攻を選択し、就職活動も資源開発の仕事ができる会社に絞っていました。ちょっと特殊な就職活動だったかもしれません(笑)。
「できるだけ早く海外の現場に行きたい」という自分の気持ちを、面接でも伝えていました。正直に伝えた方が、実際それが実現可能なのかどうかはっきり分かると思っていたからです。その中で、一番自分がやりたいことが実現できると思ったコスモへの入社を決めました。コスモグループであれば、生産した石油を精製して販売するというところまで一気通貫で実現できるということも決め手の一つでした。
1年目からカタールの海上プラットフォームへ
新入社員研修を終えた直後の2013年の8月から、カタールで油田の操業を行っているカタール石油開発に配属になりました。想像以上に早く海外の現場に行けることになり、胸が高鳴りました。カタールの主な現場は海上のプラットフォームと呼ばれるところで、そこで工事や掘削の作業に立ち会って仕事をしていました。当時複数ある井戸の内の1本の生産効率が悪く、カタールのオフィスでデータを確認し対策を検討、現場に行って様々な方法を試して井戸を復調させる仕事を任されました。もちろんはじめて経験する仕事でしたが、自分が主導して計画を立て、現場で実践するというのは、大変でしたが面白い仕事でした。カタールの海上で行う自分の業務がコスモの石油生産能力向上に直結するとてもダイナミックで責任を感じる仕事です。
カタールで3年間仕事をした後、アブダビ石油に異動になりました。アブダビ石油では2012年の既存油田の利権更新と同時に、既存油田に隣接するヘイル鉱区の利権を取得しました。着任当時は、生産施設を建設するための海上の人工島を整備したり、新たな井戸を掘削したりと、商業生産を開始するための準備が進んでいる状況でした。私も異動してすぐにヘイル油田に携わり、2017年10月の生産開始に向けたプロジェクトの一員として仕事をしました。施設の建設工事と掘削作業の両方が同時に動いているので、どうしてもそれぞれの作業が片方に影響してしまうこともあり、どちらかの作業を止めなければいけないというような問題も多々ありましたが、国籍の異なる多様な仲間たちと目指すところは一つというコミュニケーションをとりながら、なんとか乗り切ることができました。予定していた日に井戸のバルブが開く時には、現場も本社も技術者も事務担当も、みんなで喜び合い一体感を感じました。
決められた解はない。
だからこそやりがいがある
2020年に日本に戻り、現在はコスモエネルギー開発の技術部に所属しています。本社から現地への技術的なサポートとアブダビでの新規プロジェクトの検討が主な仕事です。新規プロジェクトの検討プロセスとしては、アブダビ政府が公募を出し、鉱区に関するデータを我々事業者が購入し、評価検討をした上で良さそうだと判断すれば応札し、政府の審査を受けるという流れです。営業や法務的なアプローチも非常に重要な仕事になるのですが、私が担当するのは技術的な検討と判断です。地下の地質のデータや、過去の生産テストのデータなど、さまざまなデータを検証した上で、応札するに値するかどうかを判断する仕事です。
地下3,000メートルに眠る石油が、どんな状態なのか、どうすれば掘り出せるのか、明確な解はありません。仮に豊富な経験を積んだ技術者の方が二人いるとして、その二人のアプローチが全く同じということはなく、人によって方法にも結果にも違いが出てくる仕事です。だからこそ面白いと思いますし、日々自分の力を研鑽していかなければ、と身が引き締まる思いです。
改めて自分の部署を見渡すと、コスモの石油開発の仕事をしている人は、私と同じくらいの年次か、それよりも若い人が大半です。おそらく他社と比べても、若いチームだと思います。もちろん、経験豊富な上司・先輩もたくさんいますが、とにかく若手が多くの機会に恵まれる会社なので期待に応えたいという思いが強いです。
石油開発という専門性の高い仕事なので、他部署との関わりが少ないかもと想像していたのですが、全くそんなことはありませんでした。製油所にいた方々や、販売を担当されていた方々、そして一番は同期で入社して一緒に研修をした仲間たち、たくさんの仲間と気軽にコミュニケーションをとることができます。自分たちが生産を担当し、仲間たちが精製・販売してくれているというのは、バトンを繋ぐような感覚です。大きな責任も感じますし、熱い繋がりも感じます。高校生の時に見た一枚の写真、当時想像していた以上に壮大なこの仕事に、仲間たちとともに責任を持って向き合っていきたいと思います。