入社4年目で挑んだ
大規模プロジェクト
鳥居:IMOが環境規制を強化するということがわかり、千葉製油所と四日市製油所において、ろ過設備を作る計画が動き出しました。私は2019年から四日市製油所に異動しこのプロジェクトに参加しました。プロジェクトは2017年から動き出しており、千葉製油所の関さんが中心となってプロジェクトを進行していました。
関:2017年の冬に、IMOの環境規制が2020年から強化されるという話が出てきました。本社の方を交えて、千葉製油所と四日市製油所で対応すべきことを考えていったのがプロジェクトのスタートになります。私が2014年入社なので、当時入社4年目でした。こんなに早い段階で数十億円の設備投資プロジェクトに関わることになるとは、想像もしていなかったです。
鳥居:そうか、2014年入社だったんだね。自分は2006年入社で、若い内から裁量権の大きな仕事を任せてもらってきたけれど、確かに入社4年目からこの仕事はしびれるね(笑)。
関:本当にいい経験ができたと思います。製油所で稼働しているFCC装置に触媒のろ過設備を導入するということで、プロジェクトとしてはプロセスの選定、基本設計、詳細設計という流れで進めていきました。プロジェクトリーダーという立場が初めてだったので、どんな人をプロジェクトにアサインすべきかを上司に提言するところからスタートしました。プロジェクトに必要な専門性を持った人を探し、他部署の課長に相談して協力をお願いしていきました。
設備の選定というところでいくと、触媒のろ過をするためにフィルターや遠心分離などさまざまなプロセス技術があり、今回の目的に見合った設備を世界中の技術の中から候補選定していきました。日本を代表するプラント建設会社などに相談に行き、世界にどんな最新技術があるのか情報収集を行いました。初期コストだけでなく、ランニングコストやメンテナンスのしやすさなどさまざまな面で評価をしていきながら最終候補を絞り、そこから基本設計を進めていきました。
千葉製油所と四日市製油所が
ワンチームに
鳥居:私がプロジェクトに参加したのは工事が始まる前、詳細設計を詰めていくようなタイミングでした。四日市の前任者が異動になり、それを引き継いだ形です。2020年という環境規制強化の開始時期が決まっている中でのプロジェクトだったので、納期に間に合わせるということと同時に、しっかり安全性を担保して装置が動かせるようにまだまだ課題は山積みという状況でした。
関:鳥居さんは2019年4月からプロジェクトに入られたのですが、複雑なシステムの装置構造をすぐに理解されて、プロジェクトの進捗状況も即座に把握しすごいスピードで四日市のプロジェクトを進行されていきました。鳥居さんは過去にも別のプロジェクトを経験されているということもあり、さすがだなと思うと同時に本当に心強かったです。
鳥居:関さんからそう言って頂けるのは嬉しいですが、当時は見えていなかった課題もあって、一つずつ課題をクリアしていったというのが実際のところです。今回のろ過設備はテクニップフィルターというのですが、テクニップフィルターの建設が四日市製油所の大整備の時期と重なっていて。他の工事との干渉などを調整しながら工事を進めていくことは、非常に大変でした。
関:今回装置に導入した最新鋭の自動化システムは、日本初の導入ということで社内も含めて国内にそのシステムに詳しい人が全然いないという状況でした。なかなか時間もない状況だったので、だったら詳しい人に聞きにいこうということでアメリカの設計会社に千葉のプロジェクトメンバーが泊まり込みで1週間出張に行きました。積極的に動けた、いい判断だったと思います。その後、アメリカで得た情報を四日市に展開し情報共有を行いました。千葉と四日市それぞれが装置の建設も進んでいる状況の中で、装置の安全性評価などさまざまな情報をスピーディに連携できたと思います。
鳥居:そうですね。関さんと電話でやりとりをする際にも非常に細かいところまでしっかりと把握しているなと感じました。こちらに困ったことがあって打ち合わせをした際にも、幅広い知識の中から解決策を提案してくれました。千葉と四日市で場所は離れていましたが、しっかりと連携をとりながらワンチームで進めることができたと思います。
コスモの未来を示す
環境適応への設備投資
関:プロジェクト初経験で苦しいことの方が多かったですが、改めていい機会だと捉え直すことができました。製油所の「装置の改造」というのはそれなりの頻度であるのですが、「装置の新設」というのは10年に1回ぐらいのレベルです。経験がないことは当たり前と開き直り、新しい知識を得られるチャンスだと思ってプロジェクトに取り組むことができました。
鳥居:2021年からテクニップフィルターは千葉でも四日市でも稼働を始めました。ただ、それでゴールという訳ではなく、動かして初めて出てくる課題があるのでそれを一つひとつクリアしながら、安定した稼働を目指していくという段階です。
関:プロジェクトの最中に新型コロナウィルスの感染拡大もあり、資材が届かないという想定外の事態もありました。計画よりは少し遅れましたが、稼働が始まり一旦ホッとしています。
鳥居:関さんの話にもありましたが、製油所の装置の新設というプロジェクトになかなか携わる機会はないので貴重な経験です。私にとっても、今までの人生で今回が最も大きなプロジェクトです。環境規制が変わるというグローバルな市場に大きな変化がある中で、今回のテクニップフィルターの導入は会社の収益面にも貢献できると思います。非常に大きな投資でしたが、環境適応への投資という意味でコスモがこれから進む未来を象徴するプロジェクトでもあると思います。環境適応をしながら、きちんと収益を上げていくということは、持続可能な社会を目指すために重要なことだと思います。
関:私は2021年4月からアブダビ石油に異動になりました。今回こういった大きなプロジェクトを経験できたことで、今度は海外でさらに大きな石油開発プロジェクトを推進していきたいという思いが生まれ、会社に異動希望を出した次第です。現在は東京から海外のプロジェクト管理をしていますが、いずれは海外に行って今回のプロジェクトのように「未知」であることを楽しみながら仕事をしていきたいと思います。